“vegan” [ví:gən] の日本語表記をめぐり論争が起きている。
本来、「ビーガン」だろうと「ヴィーガン」だろうと、言語は文化なのだから通じる範囲で自由に表現すればよいのだが、問題も出てきた。「ヴィーガン」の表記が「間違い」だと主張されることもあるため、事実の整理が必要となっている。
結論から先に言うと「ヴィーガン」が望ましい。理由は、発音上の違いが大きいこと、類似例からして一般的であること、そして何よりも、「ビーガン」では恰好悪いからである。
まず、実際の使用例を見てみる。ウィキペディアでは、veganism の項目で 「ヴィーガニズム」の表記を採用している。ここでは、特に「ビーガン」の表記は見当たらない。
また、日本政府(観光庁)が作成した文書においても、外国人観光客を接待する際の注意事項をまとめた 接待マニュアル において、以下抜粋の通り、「ヴィーガン」の表記を採用している。
一番大きな問題が発音だ。英語の感覚のある方の殆どが、「ビーガン」の表記には かなり違和感がある、不自然である と指摘する。「ビー」の表記では [ví:] の音を連想できないからだ。体感的には、「ヴィーガン」と読めば英語圏で通じるだろうが「ビーガン」では通じない。それぐらい大きな違いがある。
なお、「ヴィーガン」と表記するなら、ベジタリアンを「ヴェジタリアン」と表記すべきという主張も見られるが、これには根拠がない。同じ「v」で始まる英単語は一緒に扱わないといけないというカタカナ英語の発想自体に無理がある。そもそも「ヴィー/ビー」の音と「ヴェ/ベ」の音は大きく違うからだ。むしろ「ヴェジタリアン」より「ベジタリアン」の方が原語に近い音となるし、「ベジタリアン」で十分に通じる。また、「ベジタリアン」についてはすでに定着しているため、変える場合には相応の理由が必要となる。
その意味でも、かなり違和感のある「ビーガン」が定着してしまってからでは変更は困難となるため、「ヴィーガン」の表記を定着させていく必要があろう。
言語というのは政府が決めるものではないが、政府のガイドラインは公式文書などには影響を及ぼしうるものであるため、内容を確認しておく。
まず 本ガイドライン の位置付けを確認する。文化庁が、「一般の社会生活において現代の国語を書き表すための「外来語の表記」のよりどころ」として内閣告示を発したものであり、各行政機関においてはこれを「外来語の表記」のよりどころとすべき旨の内閣訓令を発したもの。法的義務も罰則規定もないが、政府機関においてはこれを参照することで、公式文書の表記のゆらぎを最小限にしようとすることは想定される。
これを、ヴィーガンに関して要約すれば、
つまり、ヴィーガンという語は国語化の程度は極めて低く、かつ、原音に近付ける必要がある(「ビーガン」では原音からかなり離れる)ケースであるため、よって、本ガイドラインにおいても、「ビーガン」より「ヴィーガン」の表記が適すると解釈するのが自然であろう。
やはり、「ビーガン」を採用する積極的な理由は何もないのに対して、発音上の問題からは「ヴィーガン」である必要性が高く、かつ、「ヴィーガン」と表記することの問題点は何もないのであるから、「ヴィーガン」の表記を採用することが望ましいと言えよう。
更には、「ビーガン」では原語が何かが分からなくなるうえに、見た目が格好悪いので、可能な限り「ヴィーガン」に切り替えて頂きたいものである。
6 件のコメント
Kewl you should come up with that. Exectlenl!
結局、格好いいか、格好悪いかの話のようですね。
「ヴィ–ガン」の主張、かなり無理がありますね〜〜
そう。文化ですから、どういう表記がフィットするかです。「珈琲」でも「コーヒー」でもいいわけです。 by Ken
その一方で、発音上の問題がありますので、「ヴィーガン」の方が圧倒的に良いわけです。ベーガンはともかく、ビーガンでは知らない方は [bí:gən]としか読めません。今のうちにより原音に近い方を定着した方がいいわけです。 by Ken
「日本ベジタリアン協会」は「ビーガン」で統一してる。「ヴェジタリアン」「ヴィタミン」とは言わないという理由からだ。
それを無視する理論建てをするべきだなビー癌は!